ペンダント “Valérie”

師匠が18Kイエローゴールドで作ったモデルと同じものをシルバーで。

6mmのブルートパーズを5つ、

4mmのロドライト•ガーネットを1つ

合計6つの石を全て立爪留めで。

そうしてできたのがこのペンダントです。

極めてシンプルなモデルに見えるのですが、正直今まで作った中で一番難しかったです。

石の位置がピシッと決まるように石留め台と爪を用意するという作業は、各工程での正確さを最大限のに必要とするなかなか手に汗握るものでした。

各ポイントを詳しく説明すると大変なので、ざくっと写真で制作過程を紹介させて頂こうと思います。

白い紙の上に色々な直径の円を描画して、5つの石がぴったりはまる直径をみつけます
アバウトに銀板上に描画した円をコンパスで5分します。ここの時点からもう正確であることが非常に大切です。
最初に紙に円を描いて見つけたものと同じ直径を描画。石を置いてみてうまくいきそうかを確認。
石と同じ直径の円を5分した円の中にさらに描画。それぞれの円の線が触れ合うのが大切。
それぞれの円の中心にドリルで穴をあけ、穴を3mm弱まで大きくした後、コーン状のバースで写真のように削ります。各円の外側を切り抜いてしまいます。この時点でおかしいところがあると、後では取り返しがつかないので、迷いなくやり直した方がいいです。
5つ石と、爪と同じ直径の銀線の切れ端をそれぞれの場所に置いてみて、内側の爪の位置を決めます。
爪がきちきちに入る穴を決めた場所にあけます。
内側の不要な部分を切り取ってしまいます。
外側、石と石の間にくる爪の位置にも爪がきちきちに入る溝を彫ります。
U字状の爪を各穴にクリップのように挟む様式でセッティング。
一番外側の爪は、一本一本溝を彫って溶接していきます。
全ての爪が溶接し終わった状態。
U字の爪を切り離します
上からみたところ。最初はバチカンを通す輪も本体から切りだす予定だったのですが、小さすぎると思ったので切り取ってしまいました。中央の石がのる輪も内側の爪に挟まる形で溶接します。
バチカンを通す輪を改めて溶接。上になる爪が通るように、輪自体に穴をあけています。
バチカンを溶接。
全ての溶接がこれで完了。
後から届かなくなる箇所はこの時点で磨いておきます。
石留めバトンにくっつけます
5つの石が入るように、爪をそれぞれ少しずつ削っていきます。爪が長いままの状態で爪を倒して石を留めてしまいます。
爪を倒して石を留め、必要最低限の長さに爪を切って、爪の先の形を新幹線の頭?のような形に彫刻します。外側の、石と石の間にくる爪は、倒す前に必要な長さに切っておきます。石には触らずにヤスリやéchoppe(日本で言う切りたがね?)を使って爪を彫刻する作業は、とにかく慎重に時間をかけてのんびりと。
内側の爪は倒しやすいようにヤスリで上の方だけ平たく削ります。石がはまるようにやはり爪の内側もすこし削ります。
爪を倒して中央の石も留めてしまいます。
長過ぎる爪を糸ノコで切る様子。石にキズをつけてはいけないので、爪が切れる直前で切るのをやめて、ペンチで先を取り除きます。
中央の5本の爪は狭い場所に収まっていてさらに彫刻するのが大変ですが、とにかく時間をかけて少しずつ丁寧に、のんびりと彫刻していきます。

こんなにシンプルなのに、作るのはこんなに大変!

でも出来上がった瞬間の満足感はとてつもなく大きいです。

この課題を与えてくれたValérieに感謝の気持ちをこめて、”Valérie” と名付けました。