BijouterieとJoaillerie

フランス語ではジュエリーのテクニック(もしくは職業)が

Bijouterie (ビジュトゥリ)と Joaillerie(ジョエルリ)の2つに分かれます。

後者の Joaillerie の方が英語のJewelleryの語源になっていると考えるのが自然ですね。

英語のJewelleryは技術や職業というよりは、宝飾品そのものを指しているのに対し、

フランス語では出来上がった宝飾品は Bijoux(ビジュー)、 Joayaux(ジョワイヨー)と呼ばれます。

ちなみに日本語では英語のJewelleryを取り入れてジュエリー、となります。宝飾品、と訳されます。

では、Bijouterie とJoaillerie の違いは何でしょうか。

Bijouterie は貴金属を加工して装飾品を作る技術。

Joaillerie はBijouterieに貴石を留める技術を加えたもの。

従って、BijouterieなしにはJoaillerieは成り立たない、そういう関係になっています。

かなり明確な定義なのですが、実際はこの2つのテクニックはすっかりごちゃ混ぜにされており、「Joaillerie はBijouterieよりも豪華な装飾品を作る技術」「Joaillerie の方が Bijouterie  より技術が複雑」程度に理解されていることが多いです。最近ではジュエリーの学校の先生ですら、2つの技術をはっきりと定義できない人がほとんどですから、やがてはこの区別はすっかり忘れられてしまう運命にあるのかもしれません。

私の師であるミッシェル•ジンマーマンにとってはこの2つの区別がとても大切で、石のある時、無い時で技術的アプローチの仕方が変わってくるという事を日々厳しく叩き込まれます。 Joaillerieでは石があることで、ジュエリーの主役は必然的に石となり、構造的にもデザイン的にもその石を中心に展開していきます。

確かに、曖昧な定義の中における現在の「Joaillerie」では、せっかく石が留めてあるのに、デザイン的にはまるで「後から石を足してみました」「挿し色として石を留めてみました」というような中途半端な結果になっていることが多いのがとても残念です。

英語になってしまった時点でこういった細かい技術的なニュアンスがすっかり取り払われてしまい、日本もその流れをうけて宝飾品/ジュエリーとひとくくりになっていますが、こうやってフランス語的に分析してみるとなかなか奥が深いのです。

BijouterieとJoaillerieの違いは?と質問してくれた友人のTさんにこの場をかりて感謝します!

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